あなたの記憶の片隅に、子どもの頃に訪れた不思議な場所の思い出はありませんか?あまりに幻想的で、「あれは本当にあったことなのだろうか、もしかしたら夢だったのかもしれない」と感じるような、そんなおぼろげな記憶です。
私(周央サンゴ)にも、そんな記憶がありました。お店の中に川が流れていて、料理が船に乗って運ばれてくる――。そんな魔法のようなレストランに行ったことがある、という淡い思い出です。ずっと夢だと思っていたその場所が、実は本当に存在することを知りました。
その名は、「エンターテイメントいろり焼き 豆腐と いろり焼きの ひどり山」。さあ、私と一緒に幼い頃の記憶を辿り、常識が通用しない、最高に楽しい美食の世界へと足を踏み入れてみませんか?
1. 料理が流れてくる、「水力の回転寿司レーン」
このお店の最大の特徴であり、誰もが心を奪われるのが、その唯一無二の料理提供システムです。個室のすぐ横を流れる人工の川を、料理を乗せた船がどんぶらことやってくるのです。まさに「水力の回転寿司レーン」!
部屋で待っていると、どこか懐かしい、まるで「昭和に録りました」と言わんばかりのレトロな音声で「間も無くお料理が運ばれてまいります」という放送が響きます。それを合図に、胸を高鳴らせながら部屋の障子をスッと開けると、そこには「ちょろちょろ」と音を立てて水が流れる、清潔なステンレス製の水路、すなわち「川」が現れます。やがて、赤い船が料理を乗せて自分の部屋の前までやってきて、ストッパーでぴたりと止まるのです。
船からお盆を受け取ったら、忘れずに「OK」ボタンを押すのがルール。この一連の流れは、もはやアトラクション。「こんなにワクワクする料理あっていいんだろうか」と思わず声が漏れてしまうほど、食事という行為が一大エンターテイメントに変わる瞬間でした。
2. 「やりてえからやる」―バブル時代が生んだ、最高に贅沢な遊び心
「ひどり山」は、訪れた人が口を揃えて「バブルの遺産」と表現する場所です。その言葉通り、施設のスケールと雰囲気はレストランの域を完全に超えています。
車で山道を進み、ようやく辿り着くと、目に飛び込んできたのは「ライティングされた寺」のような建物。レストランというより、もはやテーマパークか巨大旅館のようです。圧倒されながら中へ進むと、撮影スポットのある小さな庭の横に、なんと「めっちゃでっかい水車が3、4個」も並んで、ゴボゴボと音を立てて回っているではありませんか!水車ってこんなに必要!?この、常識を軽々と飛び越えてくる感覚こそが、「ひどり山」の真髄なのです。
ここから感じられるのは、効率や採算よりも「面白いものを作りたい」という純粋な情熱。きっと、当時の企画者は目を輝かせながらこう言ったのでしょう。「俺、いいこと考えた!料理を川で流そうぜ!でもただの水路じゃつまらないから、すげえでっかい水車もつけよう。1個じゃダメだ、3個も4個もつけちまえ!ついでに神社も作ってさ!」と。
この「やりてえからやる」という、バブル時代ならではの大胆な遊び心が生んだ奇跡。その清々しいまでの哲学が、この場所を特別なものにしているのです。
食事を川に流す必要ありますか…いやここもこだわんないと面白くないよ、っていう見てて清々しい、そして楽しい。
3. 驚くほど美味しい名物「豆腐鍋」
船で料理が運ばれてくるという強烈なインパクトに目が行きがちですが、「ひどり山」の魅力はそれだけではありません。料理、特に名物の「豆腐鍋」が驚くほど美味しいのです。
正直なところ、最初は少し侮っていました。「私のお母さんが作る豆腐だってバカうまなんだから、お店の豆腐鍋がそこまで違うものか」と。しかし、その考えは一口食べた瞬間に吹き飛びました。
スープは、よくある醤油や出汁ベースではありません。豆乳とも少し違う、不思議で、優しく、そして奥深い味わい。言葉にするなら、「まろやかで柔らかで…クリーミー…あっさり…奥深くしっとり」。一度食べたら忘れられない、唯一無二の美味しさです。この素晴らしい食事が、ここが単なるテーマレストランではない、本物の名店であることを証明しています。
4. 「エンターテイメント」を名乗る気概
このレストランの最も興味深い点の一つは、「エンターテイメントいろり焼き」という名前を、他ならぬお店自身が堂々と名乗っていることです。これは私がつけた愛称ではなく、パンフレットにもはっきりと書かれている公式名称なのです。
自らの仕事を「エンターテイメント」と定義し、それを看板に掲げることには、相当な自信と気概が必要でしょう。私自身、VTuberとして活動を始めた時、YouTubeの配信カテゴリーを選ぶ画面で「エンターテイメント」を選択するように言われ、「俺ってエンターテイメントなのかよ!?」と戸惑ったことを思い出しました。だからこそ、このお店の誇り高い姿勢に、強い親近感と尊敬の念を抱かずにはいられません。
コンセプトを掲げるだけでなく、それを完璧に、そして誇り高く体現している。「ひどり山」は、そんな稀有な場所だからこそ、訪れる人の心に深く刻まれるのです。
結論:足を運ぶ価値のある、特別な体験
「ひどり山」への訪問は、単なる食事ではありませんでした。それはまるで、時間旅行のような、豊かで楽しい体験そのものです。効率や常識にとらわれず、「面白い」を徹底的に追求した時代の情熱が、今もなおそこに息づいています。
もしあなたが日常から少し離れて、ユニークで心に残る体験を求めているなら、ぜひ一度訪れてみてください。きっと「人生において面白い経験になる」はずです。
P.S. お店は駅から少し離れていますが、予約の際に伝えれば南大沢駅から送迎サービスを利用できますよ!


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